初めてのプール

テレビで競泳を見て水泳に興味を持ったkoinuを、初めてプールへ連れて行くのである。風呂場でも顔を洗うのを嫌がる子ゆえ、すぐにプールから上がってしまっても遊べるようにと、豊平公園横にある市営プールをチョイスした。
まずは公園でお昼にして腹ごなしにちょっと遊ぼうかと、あずまやのベンチでお弁当を広げる。と、koinuが弁当箱の蓋を開けた拍子に本体をまっさかさまに落っことした。蓋だけ持って立ちつくすkoinuであった。しょぼしょぼとかわりの弁当を買いに行き、koinuに好きなのを選ばせてあずまやに戻ると先客があり、すごすごと木陰のベンチに移動する。koinuは自分で選んだ弁当を嬉しそうに食べてるからまあいいか、と思ったら、半分も食べないうちにまた派手に落っことした。……プールに入る前から波瀾万丈だな………。よーっし、腹ごなしが要るほど食べてないから今すぐプールに行けるぞプールだプール！！
豊平公園温水プールは一般580円で終日利用でき、中学生以下は無料かつ通常は50円かかるロッカーも無料で使えて素敵なのである。素敵なので、ロッカーに靴を入れるための袋は各自持参したい。koinuはスイムキャップを持っていないので受付横で購入する。好きなのを選ばせたら、海水パンツが赤と青のくせに黄色いのを選んでくれた。それなんて信号機。
15×8メートルの幼児用プールは半分がた水泳教室のためにふさがっており、残り半分に幼児から中学生ぐらいの子供たちが大勢いて激しく遊んでいる。koinuはひるみつつもかあちゃんに続いてそうっと水に入り、いきなり水しぶきの洗礼を受けて「タオル、タオル」と半泣きになるが、お風呂じゃないからタオルないよーそれがプールのジャスティス！　しばらく腹ばいになったかあちゃんに騎乗してあちこち巡航し、笑顔が出てきたところで幼児用滑り台にチャレンジ。koinuは嬉しそうに段を上がって何の疑問も持たずにしゅーっとすべり、どっぱーん。沈んで、おぶおぶして、立ち上がって、3秒ほど固まって、口をひょうたん型にして泣き出した。しかししばらく抱っこで泣いたら再び滑り台に上がり、今度はかあちゃんを「おいで、おいで」と差し招いて受け止める位置につかせてからすべった。水没はともかく滑り台は楽しかったらしい。
水泳教室が終わって幼児用プールが全面開放になる頃には、人口密度もいい具合に減って自由に遊べるようになり、koinuもきゃあきゃあ喜びながら水のかけっこをするぐらいは水に慣れた。合間にサウナで暖を取りつつ、2時間ばかり水遊びを楽しんだ。あとkoinuはプールでもちゃんとトイレを申告できてよかった。
お昼を満足に食べずにプールで遊び続けたkoinuの空腹は、持参の棒付きキャンディなどではとてもおさまらず、どうしようかと思ったら近くのスーパーマーケットにイートインがあってたいへん助かった。パン屋さんのドーナツなど食べ、シュガーグレーズでべたべた気味のまま帰途についたのであった。なお、帰り道ずっと眠くて船をこいでいたくせに、近所の公園まで戻ってきたらいきなり覚醒して1時間ほど遊んでくれて、見守るかあちゃんは眠気で倒れそうでした。